みんなではじめるSDGs

SDGs:Sustainable Development Goals

Vol.09 SDGsへの理解を深める、みんなでつくる博物館

今回は豊田市博物館 学芸員の鶴田博嗣氏に
博物館の役割と学びについてについてお話を伺いました。


豊田市博物館 学芸員
鶴田 博嗣氏

自然と概念を感じて
ー豊田市博物館について教えてください。
 当館では「みんなでつくる」をコンセプトに掲げ、学芸員のみならず外部の方々と連携して企画から作り上げることで、より深みのある展示を実現しています。また「エコミュージアム」という考え方を採用し、地域全体を博物館と捉えています。豊田市は合併を繰り返してきた歴史があり、各地域に独自の自然や文化があるため、博物館がその入り口となり、来館者の皆様が展示を通じて関心を深め、現地を訪れる一助となれば幸いです。
ー豊田市はSDGs推進にも力を入れられていますね。
 市の施策としてSDGsが据えられていることで、産業、環境、食品など幅広い分野の団体・企業と協力体制を築いています。パートナー企業との連携は、展示内容のさらなる充実にもつながっています。当館では、あえてSDGsを前面に押し出すのではなく、来館者が自発的に感じ取れる展示を心がけています。既存の枠組みに縛られず、ネイティブ教育として子どもたちに浸透させることが大切だと考えています。

企業と協力した常設展の設置
(株式会社エノア)

本物の体験が大切
ーどのような展示があるのですか。
 豊田市内で採掘される「珪砂」というガラスの原料について、日本の国産車のガラスに使われていることを紹介する一方で、ガラス製品がリサイクルしにくくなっているという環境問題も紹介しています。また、日露国境標石の展示では石の特徴を学ぶ理科的視点だけでなく、設置に至るまでの経緯など歴史的背景まで掘り下げることで、来館者が物事を多角的に捉えられるよう工夫しています。
ー来館者の反応はいかがですか?
 博物館の活動に参加していた小学生の中に、石の調査に興味を持ち、自身のプログラミングスキルを活かして「採石の効率化アプリ」を開発した子がいます。博物館での体験がきっかけとなり、子どもたちの興味や才能が広がっていく姿を目の当たりにすると、この取り組みの意義を感じます。「深宇宙展」では、とよた科学体験館や商業施設と連携し、街全体で学べる仕掛けを整えました。詳細な解説を詰め込むよりもキーワードを提示し、興味を持った方には実際に現地で本物を体験してもらう。自ら学びを深めていくことが、SDGsの本質的な理解につながると信じています。

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敷地内には市内小学生が
植えたどんぐりの木々が育つ

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博物館が実施している
地層見学